Tuskar – “Matriarch” (2022)

名盤

画像引用元:https://www.facebook.com/photo.php?fbid=428712142402903&set=pb.100057923631214.-2207520000.&type=3

●作品情報:
形態:1st フルアルバム
レーベル:Church Road Records
ジャンル:スラッジ
トラックリスト
 1.”Matriarch”
 2.”To the Sky”
 3.”The Trees, The Trees, The Trees”
 4.”Halcyon Gilt”
 5.”Into the Sea”
 6.”Shame”
 7.”Grave”

●個人的お気に入り度:
神盤/名盤S/名盤/良盤S/良盤/並盤/並盤以下


日本ではほぼ話題にならなかったが・・・

UK出身の2人組バンドによるデビュー作。


誰?
この記事を見ている方の第一印象はこれでしょう。
今これを読んでいる方のほとんどはこのアルバムを知らないと思います。

それもそのはず、
ここ日本では悲しいくらい全く話題になっていないんです…
スラッジというジャンル自体が、日本ではそこまで人気が無いからかもしれません。

が、しかし。
このアルバム、海外だとかなり評価が高いんです。


僕が今作を見つけた経緯は、
「今年(2022年)良かったアルバム、他に何か無いかな~」
と年間ベストの記事を読み漁っていた時でした。
その時ふと、
「そう言えば今年スラッジのアルバムまだ聴いてなかったな」と思い立ち、
“2022 best sludge album”みたいなワードで何気なく検索してみた訳です。

そして上の方に出てきたとあるサイトで1位になっていたのがこのアルバム。
正直こういう記事はいつも参考程度に見ているので(割と自分の感性と合わない場合が多いので)
「まあ折角だから聴いてみるか」程度の軽い気持ちでいざ聴いてみた訳ですが・・・


これが、大当たり。

いやこれは凄い。
bandcampでもコメントが絶賛の嵐だけど、それも大いに頷ける。
それだけに尚更、日本で全然知られてないのが謎過ぎます。
だからもうせめて僕だけでもここで話題にしまくりたい。

Lorna Shoreにも比肩する、ド迫力のサウンド。

上記の通り、今作のジャンルはスラッジです。
スラッジにあまり馴染みが無い人も多いかもしれません。
端的に言うと、ドゥームメタルとハードコアを掛け合わせたようなサウンドです。

代表的なバンドはEyehategodMelvinsBuzzovenなど。
最近のバンドだとOld Man GloomSUMACが有名でしょうか。
まあ正直僕もそんな詳しい訳じゃなくて、今挙げたのくらいしか知らないんですけども。

そして今作は、そうしたスラッジの有名所の作品にも引けを取らないクオリティ。
スラッジが好きな人であれば絶対気に入ると思います!



まず#1″Matriarch”から素晴らしい。
物静かな立ち上がりから徐々にバンドサウンドが加わっていき、
焦らしに焦らして、


バァーン!!!


いや、何なのこの衝撃は。音の厚みが尋常じゃない。
無茶苦茶にヘヴィです。まずこの時点で圧倒されるしかない。
この衝撃度は、個人的にはLorna Shoreの”Pain Remains”にも匹敵します。
いやそれすら超えてるかもしれない。

スラッジは基本的に、
ドゥーム的なノイズとハードコア的な爆走との対比で進行していくものなんですが、
それがここまで功を奏する例も中々無いでしょう。

そしてこの#1″Matriarch”は10分超えの大作ながら、
その半分以上がドゥーム的なノイズで占められています。
しかし、冗長さは全く無いんです。
「間の取り方」とでも言うべきものが、非常に巧い。退屈どころかもう脳汁が溢れ出ます。


続く#2″To the Sky”も凄まじい。
ギターのイントロを挟んだ後にまたどデカいサウンドが襲ってくるんですが、
これがとんでもない。
僕これ聴いた時、もうほんとにビビりましたもん。

ビビり過ぎて思わず音量下げましたよ。またすぐ上げたけど。
この曲はリフも印象的でかっこいいです。



このように純粋なスラッジとしても十分なクオリティなのですが、
単にそれだけではなくちょっとした味付けがあるのも面白い点です。

たとえば、
#3″The Trees, The Trees, The Trees”は3分ほどのインスト曲で、
ポストメタル的でどこか侘しさが漂います。
これ以降、他の曲でもこの切々としたサウンドが所々で聞けます。

また#5.”Into the Sea”は、中盤でプログレっぽい間奏が登場。
スラッジとプログレって、意外に珍しい組み合わせでは?

まあ正直こういった要素は本当に味付け程度で、
無くてもそこまでマイナスにはならないと思います。
まだ色々と試行錯誤を重ねている段階なのでしょう。

いずれにしろ、
デビュー作としては非常に優れたアルバムである事に違いは無いでしょう。

まとめ。

個人的にはかなりインパクトのあったリリースでした。
どの曲にも思わず目を見張る瞬間があるし、この恐ろしく分厚い音に圧倒されます。

ただまだ1stですし、このサウンドは更に進化させていけると思います。
今は、とりあえず出来の良い曲を並べてみたっていう感じも正直否めないし、
上記の味付けの要素ももっと上手く使いこなす余地があるでしょう。

しかし!僕は今作を名盤に認定したいと思います。
もし「名盤」の中でS・A・B、と更にランクを分けるならBくらいになるとは思いますが、
やはりこの凄まじく迫力のあるサウンドは特筆に値します。

という訳で、オススメです!かなり!
日本で僕以外に聴いてる人いるのかって感じですが、
これを見過ごすのは中々勿体ないと思いますよ?


・お薦めの曲
#1.”Matriarch”
やっぱこれですかね。この曲に彼らの魅力が詰まってると思います。
あとbandcampで全曲聴けます。

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