画像引用元:https://kokeshicore.bandcamp.com/album/-
●作品情報:
・形態:2nd フルアルバム
・レーベル:Tokyo Jupiter Records
・ジャンル:ブラッケンドハードコア
・トラックリスト:
1. 胎海
2. 海馬に沈む
3. 系
4. 報いの祈り
5. わらべうた
6. (recollect)
7. 涅槃欠損少女読経
8. Into My Darkness -蝕- feat. Deepa
9. 彼は誰の慈雨の中で
●個人的お気に入り度:
神盤/名盤S/名盤/良盤S/良盤/並盤/並盤以下
和ホラー×メタル。独自性溢れる佳作。
日本発、「和ホラー×メタル」を標榜する4人組による最新作。
これは凄く良い。うん、素晴らしい。
去年のICDDや明日の情景など、日本人ならではの感覚を落とし込んだバンドの活躍がここ最近目覚ましい気がしますが、このkokeshiもその内の1つ。
どのバンドもそれぞれで方向性が違って全く被っていないというのも驚きです。
さて、僕が思う今作の良さは大きく2つ。
まず1つは言わずもがな、この独自の世界観。
「和ホラー×メタル」とはなるほどその通りで、ブラッケンド・ハードコアを基盤としつつも日本のホラー映画や怪談を思わせるあの不気味さ・おどろおどろしい感触が漂っています。
ジャケットも個人的にはどことなく楳図かずおみたいな感じがするような。
大雑把に言えば楽曲は静と動を行き来するスタイルなのですが、
単純に静謐なパートで不気味さを演出しているというだけではなく、静と動のどちらにもその空気が漂っているというのが見事だと思います。
静謐なパートでは物静かなクリーンギターと虚ろな語り口で聴く者を不安にさせる一方、
ハードコア的な激情を剥き出すパートでもリフが少しひねくれていて、日本的なおどろおどろしさが表現されているのではないでしょうか。
そして無視できないのはボーカル。
洋の東西を問わず、メタル界隈でここまで激しい女性ボーカルは他に類を見ないでしょう。
グロウルやスクリーム、金切り声や絶叫まで、これ程強烈な声を出せる人は男性ボーカルであろうと早々いない。Dir En Greyの京が影響源だそうですが、それも大いに納得。
演奏陣もさることながら、この世界観を構築するにあたってのボーカルの貢献度は非常に大きいと思います。
また、ギターやボーカルが時折なぞる和の趣のある繊細なメロディも印象的です。
哀愁、というよりは哀愁を通り越した先の虚無感を覚えるこの感覚もやはり独特。
黄泉の国が見えているような感覚、と言ったら良いでしょうか。
#1胎海のMV。
こうした独自の色合いを出している点も見事ですが、
僕がもう1つ素晴らしいと思ったのは曲構成の多彩さ。
1曲の中に色んな展開が詰め込まれている上、その繋げ方も中々秀逸。
引き出しが多いのでアルバム全体で見ても各々の曲が差別化されていると思います。
なのでたとえこの独自の世界観を全く抜きにしたとしても、優れた作品であった可能性は十分にあります。
曲構成が秀逸でその上独自の色も出せるなんて、これは強い。
多分今後も中途半端な作品は出してこないんじゃないでしょうか。
最後に歌詞について。
歌詞は#8の前半を除いて全て日本語。
抽象的で一見しただけでは内容を理解しがたい曲もありますが、
歌詞もやはり先述の世界観に沿ったもので、時折ゾクッとさせられる詩もあります。
#4の「私はまだ、人の容(かたち)をしていますか?」は非常に印象的ですよね。
ちなみに歌詞に目を通したい人はバンドの公式サイトからCDを買うのが良いと思います。
僕は先日行ったライブの物販で買ってきましたが。
まとめ。
純粋に楽曲の質が高い上に独自の個性もある佳作です。
その内もっと凄い怪作を産み落としてしまいそうな気がします。
あと先日ライブも観てきたんですが、ライブも凄く良かったのでお薦めです。
まだ観てない人はぜひぜひ。
・お薦めの曲
4. 報いの祈り
日本的なおどろおどろしさ、巧みな曲構成、和風の繊細なメロディなど、このバンドの色が一番よく表れている曲だと思います。
前半と後半で曲の表情がさりげなく変わっているのは見事だし、
美しくも虚ろな旋律も非常に印象的です。
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